愛着障害とは?人間関係の生きづらさの背景にあるものと、カウンセリングでできること

悩む小学生の男の子

「なんとなく人間関係がうまくいかない」「親しくなりそうになると、なぜか距離を置きたくなる」「見捨てられることへの不安が強くて、疲れてしまう」

そんな悩みを抱えながら、でもその原因がよくわからない、という方は少なくありません。

もしかするとその生きづらさの背景に、「愛着」の問題が関係しているかもしれません。

愛着障害という言葉はまだあまり知られていませんが、人間関係や感情のコントロールに長年悩んでいる方の中に、幼少期の愛着形成がうまくいかなかったことが影響しているケースは、決して珍しくありません。

このページでは、愛着障害とは何か、大人になってからどのような形で現れるのか、そしてカウンセリングでどのようなサポートができるのかについてお伝えします。

愛着障害とは何か

愛着(アタッチメント)とは、乳幼児期に養育者(主に親)との間で形成される、情緒的な絆のことです。

赤ちゃんは不安や恐怖を感じたとき、養育者にしがみついたり泣いたりして安心を求めます。そのとき養育者が適切に応えてくれる体験を繰り返すことで、子どもの中に「困ったときに助けてもらえる」「自分は受け入れられている」という感覚が育まれていきます。これが、人との関わりや自己肯定感の土台になるものです。

愛着障害とは、この愛着形成がうまくいかなかった結果、対人関係や感情の調整に困難が生じている状態を指します。

原因としてよく挙げられるのは、虐待やネグレクト(育児放棄)です。ただ、それほど極端な状況でなくても、養育者が感情的に不安定だった、忙しくて関わる時間が少なかった、過干渉や過度な期待があった、といった環境も影響することがあります。

愛着障害という言葉は、医学的な診断名というよりも、幼少期の愛着形成の困難さが大人になっても影響している状態を指す言葉として使われることが多いです。

大人になってからどう現れるか

愛着障害は子どもだけの問題ではありません。適切なサポートを受けないまま大人になると、対人関係や感情面でさまざまな困りごととして現れることがあります。

研究者によって分類は異なりますが、愛着のスタイルは大きく4つに整理されることが多いです。自分に近いものがあるか、確認してみてください。

安定型 人との関係に安心感を持てる状態。困ったときに適切に人を頼れ、一人のときも安定していられる。愛着形成がうまくいったケース。

不安型 見捨てられることへの不安が強く、相手の反応に過敏になりやすい。人に強く依存したり、相手の気持ちを確認し続けたりする傾向がある。

回避型 人との親密さをストレスと感じ、距離を置こうとする。一人でいることを好み、感情をあまり表に出さない。「人に頼らなくていい」という自立心の裏に、諦めにも似た感覚が隠れていることも。

恐れ・回避型 人と繋がりたい気持ちはあるが、傷つくのが怖くて近づけない。近づこうとする気持ちと、遠ざけようとする気持ちが同時にあり、葛藤が強い。

一つのタイプに完全に当てはまる必要はありません。また、相手や状況によってタイプが変わることもあります。

うつや生きづらさの背景にあることも

愛着障害は、単独で現れるというよりも、他の問題と絡み合っていることが多いです。

たとえば、長年うつに悩んでいる方や、職場や家庭の人間関係がうまくいかないと感じている方、「なんとなく生きづらい」という感覚をずっと持っている方の中に、その根っこに愛着の問題が関係しているケースは少なくありません。

愛着の問題が背景にある場合、表面的な症状だけにアプローチするのではなく、そこにも目を向けていくことで、変化が生まれやすくなることがあります。

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愛着障害は「治る」のか

「治る」という言葉を使うのは、少し違うかもしれません。

愛着のスタイルは、その人が長年の経験の中で身につけてきたものです。「治す」というよりも、少しずつ「付き合い方を覚えていく」「影響を和らげていく」というイメージの方が近いかもしれません。

ただ、変わらないわけではありません。安心できる関係の中での体験を積み重ねることで、少しずつ人との関わり方が変わっていくことは十分にあります。そのままの自分で、もう少し生きやすくなっていく、という感じです。

カウンセリングでできること

愛着の問題は、「安全な関係の中で体験を積み直していく」ことが回復の鍵になると言われています。

カウンセリングの場は、その一つになり得ます。否定されずに話を聞いてもらえる、感情を出しても関係が壊れない、そういった体験を少しずつ積み重ねていくこと自体が、愛着の傷を和らげる働きをすることがあります。

「愛着障害かどうか確信が持てない」という方でも、人間関係や感情のことで長年悩んでいるのであれば、一度話してみることを検討してもいいかもしれません。

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