アダルトチルドレンとは?機能不全家族の影響と、そこから自分を解放するためのアプローチ

女の子を抱きしめる女性

「なぜか分からないけれど、生きづらさを感じる」「他人の顔色をうかがいすぎて疲れてしまう」

こうした悩みの背景には、かつての家庭環境が影響している場合があります。

本記事では、アダルトチルドレンの特徴や背景にある「機能不全家族」のパターン、そしてそこから自分を解放するための代表的なアプローチを紹介します。

アダルトチルドレン(AC)とは

アダルトチルドレン(AC)とは、機能不全家族(虐待や過干渉、親の不仲、情緒的な無関心などがあり、子供が子供らしく過ごせない家庭)で育ったことによる生きづらさを抱えている人を指す言葉です。

元々は、1970年代にアメリカで提唱された「ACoA(Adult Children of Alcoholics:アルコール依存症の親を持つ成人)」という概念がルーツですが、その後解釈が広がっています。

もし今あなたが生きづらさを感じているなら、それは育った環境に原因があるかもしれません。

代表的な「生きづらさ」の特徴

アダルトチルドレンが抱える生きづらさは多岐にわたりますが、代表的なものとしては以下が挙げられます。

自己肯定感・自尊心の低さ
ありのままの自分に価値があると思えず、「自分はダメな人間だ」「どこか根本的に間違っている」という感覚が拭えません。そのため、常に何かで成果を出したり、誰かの役に立っていないと不安でたまりません。

他人の顔色をうかがう習慣
自分の意見よりも他人の期待やその場の空気を優先し、断ることが極端に苦手です。周囲の人の表情や声のトーンの変化に非常に敏感で、不機嫌な人がいると「自分が何とかしなければ」と過度に緊張します。相手に嫌われないよう、自分の意見や感情を押し殺し、常に「期待される役割」を演じてしまいます。

感情の抑圧と麻痺
幼少期に感情を出すことが許されない環境にいたため、自分が今どう感じているのか、本当は何をしたいのかがわからなくなっています。特に、怒りや悲しみといったネガティブな感情を出すことに強い恐怖や罪悪感を感じます。常に空虚感があったり、人生を演じているような感覚を抱きがちです。

境界線(バウンダリー)の曖昧さ
他人の問題に深く踏み込みすぎてしまったり、逆に自分の領域に土足で踏み込まれることを許してしまったりします。他人の機嫌や人生の責任まで背負い込み、心身ともに疲弊しやすくなります。他人に振り回されて疲れ果ててしまう一方で、他人に頼ったり甘えたりすることが極端に苦手です。

極端な思考パターン
「完璧にできないなら、全くやらない方がいい」といった0か100かの思考に陥りやすく、中庸を保つのが苦手です。失敗を極端に恐れ、過度な完璧主義によって自分自身を精神的に追い込んでしまう傾向があります。

アダルトチルドレンの主なタイプ

機能不全家族の中で生き延びるために身につけた役割は、主に以下の6タイプに分類されます。

ヒーロー(英雄)
高い成果(勉強、スポーツ、仕事など)を出すことで、家族の問題から目を逸らさせようとします。過度な努力を続け、挫折に弱い傾向があります。

スケープゴート(生贄)
問題行動や不出来な自分を演じることで、家族の不満や怒りを一身に引き受けます。自分が悪者になることで、家族の崩壊を防ごうとします。

ロスト・ワン(いない子)
家族の中で存在感を消し、目立たないように振る舞います。自分の意見や感情を抑圧し、孤立することで自分を守ります。

ケアテイカー(世話役)
自分のことは後回しにして、親の愚痴を聞いたり家事を完璧にこなしたりと、家族の世話を献身的に行います。他人の役に立つことに自分の価値を見出します。

ピエロ(道化師)
おどけたり場を盛り上げたりすることで、家庭内の緊張を和らげようとします。常に顔色をうかがっており、内面には強い不安を抱えています。

イネイブラー(支え手)
依存症などの問題を抱える家族に対して、過剰な尻拭いをしたり世話を焼いたりします。良かれと思って行う助けが、結果として相手の問題行動を助長してしまいます。

二次障害(精神疾患との関連性)

アダルトチルドレン自体は病名ではありませんが、慢性的な生きづらさが原因で以下のような二次的な問題が生じやすくなります。

精神疾患
うつ病、不安障害、適応障害、パニック障害など。

嗜癖行動(依存)
アルコール、薬物、ギャンブル、買い物など、自分にとって不都合だとわかっていてもやめられない状態です。

摂食障害
拒食や過食など、食事行動を通じてストレスや感情をコントロールしようとします。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)
過去のトラウマが突発的に蘇り、強い恐怖や不安に襲われます。

なぜ自分を抑える必要があったのか

アダルトチルドレンが抱える生きづらさの根底には、家庭が本来の役割を果たせなくなっている「機能不全家族」という環境があります。

代表的なものとしては、以下のような環境が挙げられます。

虐待とネグレクト(身体的・心理的・放任)
身体的な暴力だけでなく、言葉による否定や無視、過度な叱責などの精神的虐待が含まれます。また、食事を与えない、必要な医療を受けさせないといった育児放棄(ネグレクト)も、子どもの心に深い傷を残します。

過干渉と支配(境界線の侵害)
「あなたのため」という名目で、親が子どもの進路、交友関係、持ち物などを過剰に管理します。親と子どもの境界線が曖昧で、子どもを自分の所有物のように扱い、思い通りにコントロールしようとする状態です。

親子の役割逆転(親へのケア)
親が精神的に未熟であったり病気を抱えていたりする場合、子どもが親の愚痴を聞き、情緒的に支える役割を担わされます。子どもが甘えることができず、逆に親の面倒を見る「小さな大人」にならざるを得ない状況です。

アルコール依存や家庭内の不安定
親のアルコール依存やギャンブル、あるいは子どもの目の前で激しい罵り合いや暴力が振るわれる「面前DV」など、家庭内に常にピリピリとした緊張感がある状態です。子どもはいつ爆発が起きるか怯え、常に家族の顔色をうかがって過ごすことになります。

一貫性のない態度(二重拘束/ダブルバインド)
親の気分でルールが頻繁に変わったり、矛盾した命令(「自分で考えろ」と言いながら「勝手なことをするな」と怒るなど)が日常的に行われたりします。子どもは何が正解かわからず、常に混乱と不安の中に置かれます。

条件付きの愛情
「成績が良い時だけ」「言うことを聞く時だけ」褒められるといった、条件付きの愛情しか与えられない環境です。ありのままの自分は認められないという感覚が、強い自己否定感につながります。

生きづらさを和らげるためのアプローチ

代表的な選択肢としては、以下の三つが知られています。

薬物療法(二次障害への対応)
ACそのものを治す薬はありませんが、併発している「うつ症状」「不眠」「強い不安」などを薬で和らげます。心の土台を安定させ、次のステップに進むための余力を得ることが目的です。

カウンセリング(専門家との対話)
専門家とともに、過去の体験を安全に振り返ります。歪んでしまった思考のクセを修正したり、抑圧してきた感情を言葉にしたりすることで、心理的な重荷を下ろしていきます。

当事者会・自助グループ(仲間との共有)
同じ悩みを持つ人と体験を共有します。「自分だけではなかった」という安心感を得られる場所です。批判や助言をせず「言いっぱなし・聞きっぱなし」というルールの中で、ありのままを話す練習をします。

自分と向き合う心理的ケア

また、自分自身の内面を見つめ直す手法として、次のようなアプローチも知られています。

インナーチャイルドを癒やす
自分の中にいる「傷ついたままの子供時代の自分」をイメージし、大人の自分がその子に寄り添い、優しく声をかける手法です。当時の寂しさや怖さを今の自分が認めてあげることで、内面的な安心感を育てます。

セルフ・リペアレンティング
「自分で自分を育て直す」という考え方です。かつて親からもらえなかった肯定や安心感を、今度は自分が「理想の親」となって自分自身に与えていきます。

※こうした取り組みは、心理的な負担を伴うことがあります。ご自身の調子と相談しながら、必要に応じてカウンセラーを頼るなど、無理なく安全に進めることをお勧めします。

自分の人生を取り戻すために

この記事を読んで、「これは自分のことだ」と思い当たる節があった方もいるのではないでしょうか。

どの家庭にも、多かれ少なかれこういった要素はあるのかな、という風にも思います。

もし今あなたが生きづらさを感じていて、幼少期の体験と関係があるかもしれないと感じているなら。

この概念について知って取り組むことで、見えてくるものがあるかもしれません。

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