カウンセラーが生成AIに代替されるのは、当分先になりそう

進化したAI

こんにちは。
くれたけ心理相談室 江東支部 心理カウンセラーの國木 晋之介です。 

生成AIが私たちの生活に登場してから(ChatGPTがリリースされた2022年11月30日から)、早くも3年が経ちました。2025年11月18日にリリースされたGemini 3の性能は目を見張るものがあり、大きな注目を集めています。

様々な相談に対応してくれることから、「カウンセラーは生成AIに取って代わられるのでは?」と考える方は多いようで、半年前に書いた以下の記事は、私のサイトで最も読まれている記事の一つになっています。

カウンセラーは生成AIに取って代わられるのか

2025/12/10追記 最新の見解を以下の記事にまとめています。 生成AIが私たちの生活に登場してから(ChatGPTがリリースされた2022年12月から)、2年半ほどが経とうとしてい…

そこで今日は、生成AIによるカウンセリングの代替について、改めて現時点での私の考えをまとめます。

※あくまでも一人のカウンセラーとしての見解(ポジショントークを含む)としてお読みいただけますと幸いです。

※執筆にあたり、汎用AI二種、カウンセリング特化AI二種で検証しています。前者に関しては、カウンセリング的な対応を調査・列挙した上で、その通りに応答するよう指示しています。

「代替」はまだ先になりそう

マッサージ機のようなもの

カウンセリングはよく、「心のマッサージ」に例えられます。この例えで言うと、現在の生成AIは「高性能なマッサージ機」に近いと感じています。

多少は凝りがほぐれますし、何より安価で、予約なしで24時間365日使えますが、やはりプロの施術とは別物です。(詳細な差異は後述します)

とはいえ、それなりに良いマッサージ機が手軽に使えるようになったのですから、日々のケアとして使用するのはとても良いことだと思います。

「マッサージ師」はなくならない

マッサージ師が完全に代替されるレベルのマッサージ機が登場するのは、当分先になるように思います。

「機械では届かない深層の凝りをほぐしたい」「自分の体の癖を理解して伴走してほしい」「その時の状態に合わせた専門的な対応をして欲しい」……そういったニーズがある限り、プロの仕事は残ります。

カウンセリングもこれと同様、マッサージ機(=AIへの相談)では解消しきれない悩みを抱えた人や、多少コストをかけてでもしっかりと心をケアし、パフォーマンスを高めたい人のためのサービスとして残っていくと考えています。

カウンセリングのありようは変わっていくと思いますが、完全な代替は当分先になりそうです。

そう思う三つの理由

AIはそれなりに良い応答を返してくれますが、やっぱり本物のカウンセリングとは違います(そもそも汎用AIは、カウンセリングを標榜していませんが)。

私自身も一人のクライアントとしてカウンセリングを受けていますが、AIに話していて、「やっぱり生身のカウンセラーに話したいな」と感じる機会は多いです。

主に感じている差異は三つあります。

① AIは「正解」を急ぐ

最大の違いは、「解決を急ぎ過ぎる」ことにあるように思います。現状のAIは話を勝手に方向づけ、提案し、場合によっては指示までしてきます。

じっくりゆっくり自分が気になることを考え、内省したいときには、この前のめりな対応がノイズになってしまいます。

カウンセリングは、クライエントが自由に考え、自分なりの解決策や落とし所を見出すお手伝いをするものです。あくまでもクライアントを主体とした共同作業であるのに対し、AI相手の相談では、AIに主導権を持っていかれがちです。

② 「人間ではない」という壁

もう一つの大きな違いは、当然なのですが、「対応してくれているのが人間ではない」ことです。

こちらの表情や態度、空気感が伝わらないというハード面の問題もありますが、そういったロボティクス的な制限が取り払われたとしても、この課題は残ります。

カウンセリングでは、カウンセラーとクライエントの信頼関係、専門用語で言うところの「作業同盟」が不可欠です。生身の人間が時間を割いて真剣に向き合い、受け入れ、支えてくれていること。

その人と人との継続的な関係性が、「ちゃんとわかってもらえた」という深い癒しや、自分なりの落とし所への到達につながります。

③ 未検証のリスクとコスト

また、安全面の課題もあります。

米国での訴訟事例やEUでの規制強化など、世界的にAIのメンタルヘルス利用には慎重論が高まっています。 AI特有の「肯定しすぎる癖」が、ユーザーの思い込みや認知の歪みを助長する危険性も指摘されています。

今は法律や規制が追いついておらず、個人に責任が委ねられるフェーズです。

金額的なコストは低いですが、慎重に使う必要があるという点で、労力とリスクという「見えにくいコスト」は高い状態であると言えます。

使い分けると良さそう

AIについては、リスクに気をつけつつ、本当のカウンセリングとは別のものとして利用するのが良いかと思います。壁打ち相手や検索代わりに使う分には、とても便利なツールです。

その上で、「ちょっとAIではどうにもならないな」と感じたら、生身の人間によるカウンセリングを検討してみても良いかもしれません。

あとがき

今回AIと比較したことで、私自身も「カウンセリングがどういったプロセスなのか」をより深く理解できたように思います。

今後も動向を注視しながら、人間にしかできない価値を模索し、提供し続けていきます。

参考文献

AI関連の記事は こちら にまとめています。

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投稿者プロフィール

國木 晋之介くれたけ心理相談室 心理カウンセラー
IT業界での勤務を経て、「辛さを抱える人が少しでも楽になり、その人らしく生きられるようお手伝いしたい」と思うようになり、カウンセラーの道を志しました。

カウンセリングでは、丁寧にお気持ちを伺うことに加えて、「論理的に状況を整理し、次の一歩を考えるお手伝いをすること」を大切にしています。

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